節税は目的ではなく手段:WHYが導く本当の利益

「どうすれば税金を減らせるか?」と聞かれることは多いですが、私はよくこうお伝えします——「節税は目的ではなく、理念を実現するための手段です」と。
お金を守ることばかり考えていると、守ることに忙しくなり、攻める余力がなくなります。結果、事業の本質からズレていき、利益は出ているのに何も残らないという“節税倒れ”になるリスクもあります。
この記事では、「WHY=理念」を軸に、節税をどう使えば“本当の利益”につながるのかを解説します。
利益とは「理念を実現するための資源」
そもそも、なぜ私たちは利益を出すのでしょうか? それは、自社の理念=WHYを実現するために必要なお金を得るためです。
つまり、利益とはゴールではなく「手段」。
同じように、節税も目的ではなく「理念を実現する資源を最大化する手段」でしかありません。ここを履き違えると、
- 利益が出ないように支出を増やす
- 節税のためだけに不必要な設備投資をする
- お金を残す意義を見失う といった“迷子経営”に陥ります。
WHYから逆算する3つの節税設計
1. 理念と一致した投資を「節税の核」に据える
たとえば、「教育による人材育成」がWHYであれば、社員研修や教育制度に積極的に投資し、それを経費化することで節税にもなります。
このように、理念に沿った支出は、経費として堂々と認められ、かつ経営の本質からズレません。
2. 将来の理念実現のために「お金を貯める仕組み」を持つ
中小企業退職金共済や、小規模企業共済など、将来のために備える制度も節税効果があります。
重要なのは、「将来どうありたいか?」というWHYから必要な金額と貯蓄方法を逆算することです。
単に税金を減らすためではなく、「10年後、社員に安心を届けたい」「家族に安定した収入源を作りたい」といった理由が明確であれば、貯めることにもブレがなくなります。
3. 利益の出し方もWHY起点でデザインする
利益が出る構造そのものをWHYから考えれば、利益が「理念の証」になります。
- 誰に届けたいか(顧客)
- 何を届けたいか(商品・サービス)
- どう届けたいか(仕組み・価値観)
この全てが理念に沿っていれば、ムダな経費を使わなくても、自然と利益が残るようになります。
節税ありきの思考が、企業を疲弊させる
税金を減らすことばかり考えていると、逆にお金が残らないのが現実です。
なぜなら、節税目的の経費は「理念が伴っていない」ため、社員にも顧客にも響かず、効果も一時的で終わるからです。
むしろ、「理念を貫く過程で出てきた支出が結果的に節税になる」方が、ずっと自然で持続的です。
本当の節税は、「理念に沿って稼ぎ、理念に沿って使う」こと
利益を出すことも、税金を払うことも、本来は悪いことではありません。
・稼いだお金が、理念の実現に向かって使われる
・その中で正当な支出が経費となり、税金が最適化される
・結果的に、お金も人も信頼も残る
この状態こそが、節税の理想形です。
まとめ:理念なき節税は、一時的。理念ある節税は、永続的
・節税は目的ではなく、理念を実現するための“使い方”
・WHYを起点に、支出・利益・貯蓄をデザインする
・節税とは、「守る技術」ではなく「活かす技術」である
短期的な税金対策に振り回されるのではなく、理念を貫くための長期的なお金の使い方を設計しましょう。それが、事業の持続性と、お金の残りやすさを同時に高める効果的な方法です。