「新規よりリピーター」──売上・利益・節税までつながる、経営者必須の戦略思考

多くのビジネスオーナーが「新規顧客の獲得」に夢中になる一方で、実は見落としがちな「最大の資産」があります。それがリピーターです。
ビジネスの成長を持続可能にするカギは、華やかなプロモーションでも、一時的な割引でもありません。「何度も買ってくれる顧客」を育てること。この地道な努力こそが、売上・利益・節税対策を含めた経営全体の安定に直結します。

売上の公式は「リピート」で決まる

まず、ビジネスの売上は以下のように分解できます。

売上 = 顧客数 × 客単価 × リピート回数

この中でも、特に改善インパクトが大きいのが「リピート回数」です。新規顧客を1人獲得するためのコストは、既存顧客を維持するコストの10〜16倍に跳ね上がります。つまり、売上が落ちたときに「新規開拓だ!」と動くのは、穴の空いたバケツに水を注ぎ続けるようなもの。顧客を逃さない仕組み=リピーター施策を整える方が、圧倒的に効率的です。

目次

リピーターが増えると、利益率が上がります。広告費が抑えられ、売上が安定し、次の一手が打ちやすくなる。これにより節税の選択肢も広がります。

たとえば、

  • 役員報酬を戦略的に上げて節税
  • 福利厚生(リピーター向けイベントやノベルティ)を経費計上
  • 継続収益を担保に設備投資や法人化のタイミング調整

など、利益が読める経営が可能になります。

「安売り」は節税どころか経営を壊す

リピーター施策で気をつけたいのが「無計画な安売り」です。
安くすれば売れるのは事実。しかし、それでリピーターが増えるか? というと別問題です。値下げに意義を持たせることがポイントになります。

たとえば、ある老舗洋食店が「庶民に手の届く洋食を」という理念でボルシチを50円で提供し続ける。それがリピーターを呼び、SNSでも話題になる。ここには戦略的値下げとストーリーがあります。単なる値下げと違い、「心が動く」からリピートにつながるわけです。

ここからは、実践的なリピーター創出戦略を7つに分けて紹介します。

1. 新規開拓の前に「リピーターになる新規」を見つける

無作為なクーポン配布では、価格重視の顧客が集まるだけ。
最初から「何度も来たくなる価値」を感じてくれる層を狙うべきです。例えば、美容室なら「定期メンテナンスを大切にする人」をピンポイントで狙う広告文やLP設計にする。

2. 購買導線を“5手先”まで設計する

商品やサービスに「次はこれを買いたくなる」流れを用意する。講座→コンサル→コミュニティ→年会費制サービスなど。ビジネスを階段構造にすることで、自然とリピートが生まれます。

さらに、定期契約型サービス(サブスク)を持つと、予測可能な売上+節税プランが立てやすくなります。

3. 「異なる目的」での再購入を促す

たとえば、チーズケーキを「自分用」だけでなく「お土産用」「手土産用」として売る。たった一言「贈答用ございます」と記載するだけで、買う理由が増える=リピート率が上がる

この再購入が繰り返されると、「BtoC → BtoB」へと取引規模も広がり、法人契約へと発展する可能性も。

4. 顧客が“自分ゴト化”できる情報発信

  • 実績・事例を具体的に見せる(件数、数値つき)
  • 購入後の流れをストーリー化する(例:「初回来店から3ヶ月で肌質が改善」など)
  • 顧客の声を“リアルに”集めて出す(良い点・不満点含めて)

この情報発信は、信頼の蓄積=リピートの土台になります。

5. 顧客の「WISH=願望」を読み取る

顧客が本当に求めているのは、商品そのものではなく**“その商品でどうなりたいか”**。この「WISH」を知れば、提案も接客もピタッとはまるようになります。

RIZAPが食事まで提案するのは、ダイエットの先に「魅力的な自分でありたい」というWISHがあるからです。

6. 「人」で選ばれる店・会社になる

最終的に顧客は「誰から買うか」で選びます。

  • 経営者の機嫌が良ければ、接客や社内の雰囲気もよくなり、リピーターは増える
  • 従業員の接客力を定期的に見直し、評価制度と連動させる
  • 経営者自身が他店の常連客になって、顧客心理を体験する

7. 続ける力=最大の信頼

コツコツ続ける企業に、顧客は安心と信頼を覚えます。

  • 毎日の掃除、挨拶、メルマガ配信など、地味だけど信頼をつくる行動
  • 定期的に存在感を出し続けることで、顧客の中で“選択肢の一番手”に残る

顧客が継続的に支払う仕組みがあれば、節税面での選択肢が大きく広がります。

  • 来期に向けて役員報酬や役員退職金の調整ができる
  • 従業員へのインセンティブ支給や福利厚生費の設計も柔軟に
  • 売上が読めるため、無理な節税対策や赤字経営に走る必要がなくなる

この「経営の予測可能性」は、融資の場面でも高く評価されるポイントです。

リピーター作りは、マーケティングテクニックではありません。経営の軸です。
利益、節税、安定、やりがい、社員満足──すべては「また来たい」と思ってくれるお客様によって支えられています。

派手さはなく、地味で、時間もかかる。
それでも、これ以上に「価値ある投資」はありません。

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