利益率が低い事業モデルから脱却し、税金対策まで同時に叶えるには?

「売上はあるのに、手元に利益が残らない…」「税金を払ったら資金がカツカツになる…」

そんな悩みを抱えている中小企業経営者の方は多いです。その原因の多くは、「利益率の低いビジネスモデル」にとどまってしまっていることです。

今回は、利益率の高いビジネスモデルに“構造転換”することで、税金をコントロールしながら手元にしっかりお金を残す戦略について、税理士の視点で解説していきます。

目次

利益が残らない原因は「構造」にある

たとえば、以下のようなビジネスは、そもそも利益率が低く、税金以前にお金が残りにくい構造です:

  • 仕入れて販売するだけ(小売業など)
  • 労働集約型(建設業、サービス業など)
  • 利益率が一定以下で価格競争に巻き込まれている業態

こうした構造のままでは、いくら頑張っても粗利は限られ、販促費や人件費で利益が消えていきます。しかも、利益が出れば税金はしっかりとかかります。「儲かったように見えて、実は資金が残らない」という状態に陥りがちです。

この“低利益率モデル”を抜け出すには、「モデル転換」と「税務設計」の同時進行が必要です。

8段階の利益構造を理解し、段階的にシフトする

ビジネスモデルの「利益構造」は、効率の良し悪しで8段階に分類できます。

利益構造効率説明
仕入販売×最も低効率。粗利率が低く、在庫リスクが高い
製造販売設備投資や原価が重く、固定費がかかる
仲介手数料売上高に対する粗利は高いが競争も激しい
紹介手数料在庫リスクがなく、仕組み化しやすい
請負業務受託型。スキル依存度は高いが効率化できる
利用料不動産・設備・データなどの貸し出しで継続収益
広告収入顧客接点(SNS・メルマガ・HP)を収益化
会費モデル定額制の継続課金。利益率・安定性ともに高い

税理士として特におすすめするのは、複数のモデルを組み合わせる「ハイブリッド構造」です。たとえば、仕入販売+会費モデル、請負+広告収入などです。これにより、単一モデルの限界を補いながら、税金とキャッシュのバランスを調整できます。

利益率を高めるための5つの切り口

1. 粗利率の改善

売上よりも大事なのは粗利です。粗利が低い限り、経費がどれだけ抑えられても利益は残りません。具体的には:

  • 原価率の高い商品を減らす
  • 高付加価値の商品・サービスを育てる
  • 価格改定を戦略的に行う

粗利率が5%改善するだけで、税引後キャッシュに大きなインパクトがあります。

2. 固定費の変動化

人件費や家賃などの固定費は、売上に関係なく発生するため、利益を圧迫します。これを変動費化することで、売上に応じた柔軟なコスト構造が実現します。

たとえば、外注・業務委託の活用や歩合給の導入などです。税務上も変動費化されたコストは、収益とのバランスがとりやすく、損益予測の精度が上がります。

3. リピート型への移行

単発売上ばかりでは、常に新規顧客を追いかけなければなりません。これでは販促費がかさみ、利益率が下がります。

「定期購入」「会員制度」「継続サービス」などのリピート型に移行することで、販売コストを抑え、安定収益につながります。税務面でも収益の予測性が高まり、節税計画が立てやすくなります。

4. マネタイズの多層化

1つの商品やサービスから、複数の収益源を生み出す仕組みを設けることで、全体の利益率を引き上げられます。

  • 主商品+サポートサービス
  • 有料オプション+無料プラン
  • 顧客データを使った広告収入

こうした設計は、税務戦略と連動しやすく、将来的な法人格の分社化や資産管理会社との連携にも発展できます。

5. サブスク・会費化の推進

会費モデルは、最も利益率が高く、しかも税務処理がシンプルです。定額収益なので利益の見通しが立ちやすく、資金繰りの安定化にもつながります。

たとえば:

  • 有料会員制度(月額)
  • 有料データベースアクセス権(月額)

これらは一度仕組みを整えれば、追加コストが少なく、粗利率が向上します。

税務戦略との連動ポイント

利益構造を変えることは、税金計画にも直結します。

  • 変動が少ない=税額の予測が立ちやすい
  • 利益率が高い=節税効果が計画的に設計しやすい
  • 継続収益=税金支払いの資金準備がしやすい

また、利益率の高い構造に変えると、必要な経費も変わります。仕組みづくりや投資型経費へのシフトによって、税務上もより合理的な支出と認められやすくなります。

まとめ:モデルを整えれば、利益も税金もコントロールできる

「利益が出にくい構造のまま、節税だけを追いかける」のではなく、

  • ビジネスモデル自体を高利益体質に変える
  • 経費構造とキャッシュの流れを最適化する
  • 税金の支払いを“予測可能な支出”として設計する

この3点を意識することで、経営のストレスは大きく軽減されます。

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