価格競争から抜け出すためのWHYと節税戦略

中小企業の経営者がもっとも陥りやすい罠のひとつが「価格競争」です。
「あの会社より少し安くすれば売れるだろう」「キャンペーンで安くすれば集客できるはず」といった発想は、短期的には効果があるかもしれません。しかし長期的には、自社の価値を削り、利益を奪い、税金の支払いで手元にお金が残らないという苦しいサイクルを生み出します。

この悪循環から抜け出す鍵は、価格ではなく”信念”で勝つこと。つまりWHY(なぜこの事業をやるのか)から考え直すことです。

本記事では、価格競争に頼らず、利益と節税の両立を実現するための戦略をお伝えします。

目次

安売りで負のスパイラルへ

値下げによって売上が増えたとしても、人件費や借入利息が増えるだけで税引前利益が伸びなければ、節税対策の活用幅は増えません。むしろ、薄利多売によって一定の粗利が出れば消費税の負担は増えます。
つまり、忙しくなった挙句、税負担が増え、利益も減るという踏んだり蹴ったりの状況を生みかねません。

一方で、高単価・高付加価値の商品を販売すれば、数量が少なくても利益が残りやすく、そこに節税の工夫を加えれば、キャッシュも大きく残せます。

WHYが導く「価格に負けない戦い方」

価格競争を避けるには、「この会社から買いたい」と思ってもらえる理由が必要です。
それは商品の機能ではなく、その会社の“信念”にあります。WHYが明確であればあるほど、顧客は価格ではなく価値で選びます。

例:理念で価格を超える事例

  • 地元の食材にこだわり、地域経済を支えるレストラン
  • 子育て世代を応援する、託児スペース付きの美容院
  • 環境に配慮した製品を開発する工務店

これらの企業は、必ずしも安くはありませんが、理念に共感した顧客が「応援消費」をしてくれるため、値下げせずとも売上と利益が両立できます。

節税につながる3つの価格戦略

1. 高付加価値で粗利を最大化

単価を上げることで粗利益率が高まり、少ない売上でも経費と節税対策が組みやすくなります。
たとえば、1件あたりの利益が大きければ、節税策としての役員報酬の設計や、退職金積立にも余裕が出てきます。

2. 継続課金型モデルを取り入れる

“売り切り型”ではなく”継続課金型”にすることで、利益が安定し、税務計画も立てやすくなります。理念に共感する顧客は、長く付き合ってくれる傾向が強いため、このモデルと相性が良いです。

3. 理念に沿った設備投資で節税効果

高付加価値の商品やサービスを実現するための設備投資やシステム導入は、理念と合致していれば、単なる経費ではなく、税制優遇を活用した戦略的な節税につながります。

「安くする前に、理由を語る」

「なぜこの価格なのか?」「なぜこの価値があるのか?」——それを語れる企業は、安売りしなくても支持されます。逆に、理由のない値引きは自社の価値を自ら否定しているようなものです。

WHYが明確なら、価格の説明も明確になります。そして、その価格に納得した顧客が集まるからこそ、利益も節税も持続可能になるのです。

まとめ:価格に頼らず、信念で勝つ

・値下げで集客する経営は、利益が薄く、税金に苦しむ
・WHYから設計すれば、価格競争に巻き込まれずに利益が出る
・高付加価値・継続課金・理念投資は、すべて節税につながる

価格設定は戦略であり、そして経営の意思表示です。理念を軸に設計された価格は、信頼と利益を生み、それに基づく節税戦略は一時的ではなく、永続的なキャッシュを企業にもたらします。

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