なぜ頑張ってもお金が残らないのか?中小企業の利益構造を見直す第一歩

中小企業の経営者の多くが抱える深刻な悩み、それが「売上は増えているのに、手元にお金が残らない」という現実です。今回の記事では、「WHY思考を用いて売上至上主義から脱却し、利益体質に変える話」という観点から、数字だけでは見えてこない経営の本質と、利益体質に変えるための節税戦略について掘り下げていきます。
売上を追う時代は終わった
多くの経営者は、「売上が増えればお金が残る」と信じて頑張ってきたと思います。けれど現実は違いました。販促に費用がかさみ、人件費が増え、結果として利益率は下がり、税金だけが重くのしかかる。これは「WHAT」だけを見て走っている状態です。
ここで大事なのは「WHY」から考えること。なぜ自分はこのビジネスをしているのか?誰に、どんな価値を届けたいのか?この問いに明確な答えを持つことが、収益性の高いビジネスモデルへと導いてくれます。
利益構造を見直すという発想
お金が残らない最大の理由は、利益構造の欠陥にあります。例えば、
– 商品の利益率が低い
– 販売数を増やすとコストも増える構造
– 継続性のない単発型モデル
これらを放置して節税だけを考えても、焼け石に水です。
大切なのは、利益率が高く、作業量に比例しない「仕組み型」のビジネスを組み立てること。たとえば、月額課金サービス、オンライン販売、教材提供などです。
WHYを軸にした節税戦略
節税というと、「経費を増やせばいい」と誤解されがちですが、それは逆効果です。
目的は「税金を減らすこと」ではなく、「お金を残すこと」です。
WHYを軸にした節税とは:
– 理念に沿った支出だけを行う
– 無理に使うのではなく、戦略的に投資する
– 将来に資する節税スキームを活用する(例:小規模企業共済、倒産防止共済、退職金制度など)
こうした制度を利用すれば、税負担を減らしつつ、事業の安定性も高められます。
「お金が残る会社」に共通する習慣
お金が残る会社は、次のような思考を実践しています。
– 「売れるもの」ではなく「儲かるもの」を売る
– お客様の共感を得る「価値」を基準に価格を決める
– 節税よりもキャッシュフローを重視する
– WHYに共感してくれる人材とだけ仕事をする
これらは、単なるテクニックではなく「理念経営」の成果です。
数字は理念の結果にすぎない
決算書は、経営理念の実行結果を数字で表したものに過ぎません。
理念がぶれていると、数字もぶれます。節税も同じで、「なぜそれをするのか?」が明確でなければ、単なる目先の損得勘定になり、結果として損します。
節税の選択肢も無限にありますが、「理念に合うか?」という視点で選ぶと、ブレずに資金が積み上がっていきます。
おわりに:
私は税理士として多くの中小企業を見てきましたが、本当に強い会社はみな、「WHYが明確」で「利益がきちんと出る構造」を持っています。税金はその結果にすぎません。
お金を残すための節税とは、自分のビジネスの意義を再確認し、それに沿った支出・仕組み・採用・商品開発を行っていくプロセスそのものです。
もし、いま「頑張ってもお金が残らない」と感じているなら、一度立ち止まり、「なぜこの事業をやっているのか?」を問い直してみてください。そこにこそ、根本的な改善のヒントが隠れています。