誠実な評価がキャッシュフローを改善する理由

――「ありがとう」は売上にも節税にも効く、強力な経営資源
はじめに:「売上」よりも「信頼」を積み上げる時代
「商品は悪くない。広告も打ってる。それでもお金が残らない」
そう語る中小企業経営者は少なくありません。
その根本的な原因は、「お金の流れがつくれていない」こと。
そして、お金の流れ=キャッシュフローを動かす鍵は、実は“評価”にあります。
今回は、デール・カーネギーが『人を動かす』で説いた「誠実な評価」という原則をもとに、それがなぜキャッシュフロー改善、利益率の向上、節税のしやすさにまでつながるのかを、深堀りしていきます。
結論:感謝と評価が、キャッシュを回し始める
あなたの会社に「評価文化」はありますか?
・取引先に「助かっています」と伝えているか?
・スタッフに「ありがとう」と言っているか?
・お客様に「いつも本当に感謝しています」と声をかけているか?
これらの小さな「誠実な評価」が、実は売上以上にお金の残る体質をつくる土台になっていきます。
「キャッシュフローの公式」に評価を組み込む
キャッシュフロー=
売上 – 支出 ± タイミング ± 感情の信頼残高
感情の信頼残高とは、「この人のためなら…」という協力を得られる度合い。
評価されている人・会社・社長は、支払猶予・追加発注・前払い・紹介など、あらゆる面で「得」をします。
評価がキャッシュを動かす5つの場面
1. 社員への評価 → 離職率↓ → 教育コスト↓ → キャッシュ残
2. 顧客への評価 → 継続率↑ → 売上安定 → キャッシュ計画可能
3. 税理士・専門家への評価 → 早期相談 → 節税タイミング確保
4. 金融機関への評価 → 融資スムーズ → 運転資金確保
5. 外注先への評価 → 優先対応・価格交渉有利 → コスト圧縮
このように、誠実な評価=信頼関係を整えることは、キャッシュ改善と直結しています。
なぜ「評価」が経費を減らし、節税に強くなるのか?
1. 離職コスト・教育コストが減る
→ 感謝される職場は離職が少ない=採用費・教育費削減
2. 無駄な仕事・やり直しが減る
→ 評価されると「もっと良くしよう」となる → ミス減少=効率UP
3. 協力体制ができ、外注コストを抑えられる
→ 価格交渉が「お願いベース」で通るように
4. 早めの相談ができるようになり、節税タイミングを逃さない
→ 税理士やFPとの信頼が深まる → 保険、退職金、優遇税制の活用など事前に動ける
5. 金融機関からの信頼が厚くなり、資金調達が早い
→ 柔らかい対応の先に、信用格付けが上がる
【会話形式】節税がうまくいく人・いかない人の違い
社長A:「今年利益が出すぎちゃってさ、何か節税ない?」
税理士:「(このタイミングで…)そうですね、法人保険か共済か…」
社長B:「今月の数字、ちょっと見てほしいんですが」
税理士:「ありがとうございます!今から動けば、投資を使った節税も間に合いますね!」
→ 違いは、「日頃の関係性と誠実な評価の有無」。
これひとつで、同じ税理士でも「提供できる情報の量と質」が変わるのです。
「評価する」習慣をビジネスの中に埋め込む
シーン | 評価の具体例 |
---|---|
打ち合わせ後 | 「いつもありがとうございます。助かります」 |
社内会議 | 「それ、よく考えてくれてるね」 |
メール返信 | 「対応が早くて助かりました」 |
新規顧客対応 | 「ご紹介ありがとうございます」 |
外注先とのやり取り | 「丁寧に対応してくれて感謝しています」 |
評価は「お世辞」ではありません。本音で伝えれば、関係が深まり、お金が回ります。
まとめ:評価は、見えない経営資源である
数字を追いかける前に、人を見て、関係を育てること。
「ありがとう」を伝えること。
これが最も地味で、強力なキャッシュ戦略です。
誠実な評価があるところには、
・協力が生まれ
・信頼が集まり
・無駄が減り
・節税の余地が広がり
・お金が残る経営が実現します。